こんにちは、おかちゃんせんせいです!
前回は読み解き編として、情報を受け取るときの4つのポイントを解説しました。
今回は分析の章ラストとして、演習編になります。
目次
グラフからあなたは何を読み解きますか?
まず最初の事例は、初級者向け。
東京の年間平均気温の経年変化(1872年〜)を示したグラフです。
- 観測場所:東京千代田区北の丸公園に設置されているアメダス観測所
- データ期間:1872年〜2020年までの年間平均気温
- データの引用元:気象庁ウェブサイト
このグラフの気温データについては、下記リンク先にある気象庁のデータを取得し、グラフ化したものです。
早速ですが、あなたはこのグラフから何を読み解きますか?
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ちなみに、気象庁のサイトにはこのように書かれていました。
日本の平均気温は、長期的に見て、様々な時間スケールの変動を伴いながら上昇しており、1980年代後半から急速に気温が上昇しています。その背景には、温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化による長期的な昇温傾向と数十年周期の自然変動の影響があると考えられます。こうした地球温暖化や自然変動の影響に加え、地点によっては都市化も影響していると考えられます。
気象庁 報道発表資料
なるほど。
確かに年々気温が上昇しているように見えます。
そして、その要因の一つを温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化による影響だと伝えたいのかもしれません。
しかし、グラフを読み解くときには大事なことがあります。
それが尺度です。
尺度——つまり、グラフで言えば、集計期間の長さだったり、気温の表示範囲だったり。
この尺度が違うだけで、また全然違った見せ方ができてしまうのです。
グラフは作成した人が意図したいように操作できる
それでは、先ほどのグラフの気温の表示範囲を少し広げて、先ほどのグラフと比較してみましょう。
どうでしょうか?
前者と比べて後者の尺度を広げた方が気温の変化はないように感じませんか?
データはいじっていません。
けれど、尺度を変えて表現しただけでも、見え方がかなり変わることがわかっていただけたかと思います。
たとえば、もっと年々気温が上昇しているように見せたければ、特に気温が上昇している期間に絞る。
逆に、気温が上昇していることを見せたくなければ、グラフの縦軸の幅を縮める。
そうすれば、グラフを見る人の思考を意図したように誘導できます。
そのことをぼくは、学生時代に実験データから論文をまとめる過程で学びました。
グラフはいくらでも操作できる
データの正確性ではなく、相手の伝えたいことは何なのかを読み解く
上述の話は、何も折線グラフだけに限ったことではありません。
TV・新聞・ネットで報道している図表も同様です。
情報を発信する人が図表や数値を用いているときには、必ず何らかの意図があります。
だからこそ、そのことを受け手であるぼくたちは、理解しておくことが大事なのです。
もう一つお伝えすることがあります。
正確性を求めてしまうと、前回もお伝えしましたように権威のある人の意見に流されやすくなりますので。
なので、情報を読み解くときは、データの正確性を求めて安易に判断せず、常に相手の伝えたいことは何なのかにアンテナを張って、読み解いていくことをお勧めします!
それこそ、名探偵のように、✨
今回は、演習問題としては初級向けに記事をまとめました。
グラフの性質さえ理解していれば、知識がなくてもある程度読み解くことができます。
日頃図表や数値を見る機会があったら、報道されるままの情報を安易に信じずにまずは自分自身で考えてみてませんか?
きっとこれまでとは違って、より客観的に情報と向き合えるはずですから。
次回は中級向けの演習問題をお届けします!
今回の記事が、みなさんが日常生活をご機嫌で過ごすために役立てば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!