自分を活かして 相手を活かして 今を活かす

妄想講演会 第12回「信じる」

◆お知らせ◆

【まとめ記事】

現在、これまで書いてきた記事をテーマ別にまとめています。

詳しくはこちらから

まえがき

今回のテーマは「信じる」です。

信じる

今回のテーマ「信じる」を話す上で、最近他校で相談を受けた2件の話をしたいと思います。

ある子からこんな相談を受けました。
「信じていた子から裏切られたことがすごくショックで・・・それ以来の人間不信になってしまったんです」

また、別の子からはこんな相談を受けました。
「突然親しくしていた友人たちから『信じてたのに裏切られた』と言われ、それ以来集団で無視されるようになって。別の友人から『謝ったら許すって言ってるよ』と聞いたけれど・・・納得いかないんです」

この2つの相談は、それぞれ立場に違いがあります。
前者は自分のことを被害者だと思っているのに対して、後者はいつの間にか自分が加害者になっています。

もしこういった相談をあなたが受けたら、あなたならまず何をしますか?
・・・はい、そこのカッコイイ男の子!
君ならどうしますか?

「俺なら、まず事情聴取します。詳しく話を訊かないとなんでそんな状況になったのか、原因がわからないと思うんで」

なるほど、確かに状況把握は大事だね。
答えてくれてありがとう!

彼が言ったように、話の内容を詳しくヒアリングできないと判断のしようがない。

その上で、次の質問です。
原因を突き詰めていったとして、相談のゴール地点はどこに設定しますか?

これから話すことは、あくまで私が相談を受ける上で意識していることです。
まず、大前提で意識していることは、受けた相談を解決しようとはしないこと

これは誰に対しても、相談を受ける前に最初に断っていることです。
相談の内容を解決するように話を持っていくことは簡単です。

「悩みの原因を解決する方法はこれこれですよ」と伝えてあげること。
悩んでいる原因の解決法を提示されるだけでも、スッキリして悩みが解決したような感じになります。

先程の前者の子(Aさん)だったら、ショックを受けた心を慰めるために、精神療法を勧めたり、リラックスできる音楽を勧めたり。

けれど、悩みを何とか解消しようとするアプローチは、あくまで対処療法でしかありません。
対処療法とは、例えば家の雨漏りが起きた時に、雨漏りした水を拭き取っているようなものです。
何が言いたいのかというと、雨漏りが起きている根本的な原因には何もアプローチはできていない、ということです。
つまり、一時的に悩みがなくなったかのようになったとしても、また同じようなことがあると、同じような悩みを抱えることになってしまう、ということ。

だから、大事なのは悩みを解決することではなく、なんで悩んでしまっているのかということだと私は考えています。


たとえば、後者の子の話で言えば、自分とは疎遠の人たちから同じように無視されたら、果たして悩みますでしょうか?
この話でポイントになるのが、悩ませていると思っている出来事や相手があなたを悩ませているのではありません。 あなたの思い込みが、あなたを悩ませているのです

Bさんはしっかりした子で、周りの人からよく頼られていました。
Bさんは頼りにされているから、その期待に応えてきました。
話の詳細を訊くと、どうやらBさんは周りに期待されていないことをした時、「みんなの望んだ通りにしないと、これまで積み上げてきた信用がなくなるよ」と言われたそうです。

では、悪いのは「裏切られた」と言って無視している子たちなのでしょうか?
それとも、みんなの期待に応えられなかったBさんが悪いのでしょうか?
みんなはどう思うかな?

……

……

……

どっちが悪いという思考では、結局表面の問題しか向き合えません。
Bさんの場合で言えば、 自分の想いは二の次にして、相手の期待に応えるだけの人生にしたいのか?
ということ。

Bさんは責任感が強いが故に、いつの間にか周りの期待に応えなければならない、期待に応えられなくなって信用がなくなるのが怖いと思うようになっていました。
けれど、一度でもあなたが自分の想いを一方的に妥協してしまえば、相手は際限なくBさんに依存し続けるでしょう。

だからこそ、その問いかけにもしNoを出すのであれば、 無視している人たちともこれからも付き合っていきたいと思うのか?
今一度自分に問いかけてみた上で、今後どうするのかを自分で決めるのです。
周りや自分の状態をどうこうする必要はないのです。
自分で決めたことによって、もう同じようなことで悩むことはなくなります。
悩むかどうかを決めているのは、自分自身だと気付くことによって。

では、Aさんのケースはどうでしょうか。
Aさんのように「信じているのに裏切られた」という風に話す人は、その裏切られたと思っている人から「信じてほしい」と言われたわけではなく、相手が自分の期待通りにしてくれると信じていただけの場合がほとんどです。

つまり、自分が勝手に期待して、勝手に裏切られたと思っているだけ、ということ。
相手に一方的に依存しているのに、相手が自分の意に反することをした途端に反発したり、「自分は被害者」だと錯覚してしまう傾向があります。
「あなたの言うことなら信じる」とか「あなたに任せる」とか言っている人がこのタイプ——一方的依存タイプです。

このタイプの人(Cさん)との会話でよくあるある話。
例えば、あなたがCさんに「行きたいお店ある?」と質問したとします。  

Cさん「あなたに任せるよ」

あなた「じゃあ、ラーメンでいい?」  

Cさん「私、今ラーメンって気分じゃないの」  

こんなやりとりをしたことある人いませんか?  

結局Aさんがもし悩みを解決したいのであれば、まずは相手や環境に依存する思考を変える必要があります。
自分のことは自分で決める、と決めるだけなのです。  

そうすれば、自分を悩まさせている存在に気づくことができます。
今回の2つの相談は、「信じる」と「裏切り」と言う2つの言葉をどのように認識しているのかがポイントになります。

Aさんの話では、「信じる」と言うのは、あくまで一方的な相手への「期待」。
だから、「期待」に反する行動をされたら「裏切られた」と思ってしまうのです。
だから、もしみなさんが同じような悩みに遭遇した時に、闇雲に悩みを何とかしようとしないことをオススメします。

「なんで私は、俺は悩んでいるんだろう?」 と自分に問いかけてみるのです。  
相手に期待していることで悩んでいるのか、それとも相手からの期待に背くことに恐れているのか。
どちらにしても、前者は相手への一方的な依存ですし、後者は相手との共依存——つまり、あなたが依存する思考が、自分で悩みを作っているのです。

私は「信じる」という言葉を使うとき、相手が仮に自分の期待に応えてくれなくても「信じる」気持ちは変わりません。

私が好きなアニメでこんなシーンがあります。
ある少女が無条件で相手のことを信じている青年に対して、「何でそんなに信じられるの!?」と問いかけます。   すると、青年はこう応えます。

「理屈じゃねえんだよなぁ…おんなじなんだよ。てめえを信じるから、あいつを信じる… あいつを信じられるから、てめえを信じられる…おんなじなんだ、俺にとっちゃ。 それがつまり、相棒なんだよ」

つまり、青年にとっては、「信じる」という言葉は一方的なものではなく、相手を「信じる」ということは自分を「信じる」、ということ。
相手のことを信じられなくなっているとしたら、自分のことを信じられなくなっているということなのです。

みんなも「信じる」という言葉を相手に使う時には、要チェックですよ。


ご静聴いただき、ありがとうございました。

あとがき

今回のテーマである「信じる」と向き合うことは、人間関係で悩んでいることがある人にとって解決する手がかりになります。

なぜなら、人間関係で悩む理由の大半は、自分自身が勝手に作り上げていった思い込み(思考)が原因だからです。

相手をどうこうしようとする前に、自分の思考パターンを把握して、必要であれば変えることを考えてみてはいかがでしょうか?


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA