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【MM小冊子】That Is Why〜マインドマップを通して学んだ13の心得〜 第4章 小さな成功体験の積み方
何のためにノートを取っているか?
マインドマップをお伝えしていて、よく質問を受ける内容があります。
どうやったらマインドマップを使って講演会やセミナーで聴いた内容をまとめることができますか?
つまり、人から聴いた内容を整理したいということです。
が、マインドマップを描けるようになると一番ありがちなのは、マインドマップを描くことが目的になってしまうこと!
何度か講演会でマインドマップを描いている方のマップを見せていただいたら、確かに上手にまとまっている感じがします。
でも、「描いたノートを見直しますか?」
と聴くと、ほとんどの方から
「…見直すことはないんです。」
という返答をいただきます。
つまり、講師の方の話が聴きたくて参加したセミナーなはずなのに、いつの間にか
マインドマップを(綺麗に)描くことが目的になっているという。
ノートに書いたものの見直さずに終わってしまうこと、みなさんもありませんか?
見返したくなるノート
ぼくがマインドマップを描く上でまず大切にしていることあります。
それが、見返したくなるノートになっているかどうかということです。
ここで、重要なのが他の人にとってではなく、あくまで自分にとってという点です。
最近新しく店頭に並んでいるノートのキャッチフレーズに、「書いた文字がきれいに見える」と似たようなフレーズのノートをよく見かけるようになりました。
確かに見返す上できれいに書けていた方が見やすいし、見る分には良いかもしれません。
ただし、目的が見やすいノートを書きたいのか、それとも、後から見返した時にすぐに振り返れるノートを創りたいのか、によってきれいに書けることを優先すべきかどうかは検討する必要があるかもしれません。
たとえば、履歴書や手紙などを書くときにはきれいな字で書けたほうが、相手への印象も良いので、書いた字がきれいに見えた方が良いと思います。
しかし、もしテスト勉強や学んだことを次に何度も活用したいとしたら、何を優先すべきだとみなさんなら考えますか?
ぼくが学生時代も含めてマインドマップを活用するように意識する前までは、とにかく板書した文字や重要そうな部分をメモしまくっていました。重要そうなところは赤で書いたり、図を書いたり、付箋を貼ったり色々工夫したりしました。
ところが、肝心の書いたノートですが、累計はとっていませんがぼくの場合9割以上、書いたノートを見直していません。
それどころか、どのときに書いたノートがどこにあるのか、確認したい部分がノートのどの辺りにあるのか全く把握できていませんでした。
この状態で、本当にノートを活かすことができたでしょうか?
脳はインプットしただけでは長期記憶できない
第2章の冒頭で脳の仕組み・機能についてご紹介しましたが、そのうちの一つである脳は繰り返し思考(アウトプット)したことを重要視するという話をご紹介したいと思います。
脳はどんなにインプットしようとしても、それが全て記憶できるわけではありません。
むしろ通常インプットしただけでは脳には長期記憶されないため、結果的に忘れたという状態になります。
つまり、ただ単にインプットするだけでは長期記憶できないとしたら、どうやったら必要な情報を長期記憶して、すぐに使えるようにすることができるのか。
その説明のためには、そもそもどういった情報なら脳はインプットしただけで長期記憶する傾向があるのか知っておく必要があります。
脳には海馬と呼ばれる部位があり、インプットされた情報を長期記憶するかどうかを判別する関所的な役割を果たしています、では、いったいどのような基準を海馬は持っているのでしょうか?
実は、海馬は生死に関わる情報は長期記憶として保持するという基準を持っています。
つまり、それ以外の情報は通常短期記憶となり思い出しにくくなっていきます。
ということは、学校の勉強などや自分にとって必要ではないと感じていることは直接生死に関わることがないから、どんなに覚えようとしても覚えておくことができない、というのが脳の機能としてそもそもあるわけです。
とはいえ、覚えておきたいことはたくさんあると思います。
では、どうやったら生死に関わらない情報も保持できるのかと言いますと、繰り返しインプットしたことをアウトプットし続けることです。
アウトプットし続けることで、海馬がこの情報は「重要(生死に関わる情報)なのではないか?」とある意味勘違いして、長期記憶されていくようになります。
この長期記憶していくスピードをさらに高めるために有効なのが、もう一つ別の脳の機能でもある「感情・五感に訴える情報を強く認識(記憶)する」を意識して活用することです。
たとえば、ノートをとっているときにただ先生や講師の方がお話したことや書いたことを書くのではなく、その話を聴いて自分自身にどんな感情が湧き上がったとか、講師がどんな表情や想いを込めて話をしているか、ということを重点にメモをとる。
すると、それがトリガー(スイッチ)になってそのフレーズを見るだけで、その前後の記憶までイメージとして思い出しやすくなります。
以上の脳の機能を基にすると、書いたノートを活かすためにはそのノートを何度も見返せる状態にしておくことが、記憶の定着・活用には欠かせない要素の一つとなるわけです。
あなたのノートは見返したいと思うノートになっていますか?
ノートを書いて満足していませんか?
また、学んだ内容がノートのどの辺りに書いてあるのか、なんとなくでも覚えている状態でしょうか?
もしどれか一つでも当てはまる方は、今がもう一度あなた自身のノートの取り方・活用の仕方を見直すタイミングなのかもしれません。
お伝えした方の中にはぼくのアドバイスを聴き、まずはすぐに試してしてくださる方もいらっしゃいます。そういった方々からは、
「講義ノートの取り方を見直してから、今まで以上に集中して講座を聴けるようになった」
「書く量は格段に減ったけれど、書いたものを見て思い出せる量は格段に増えた」
「応用として、電話でコーチングするときに相手の話をマインドマップで書くようになってから、あっちこっち話がとんでも迷わなくなり、よりコーチングをしやすくなった」
などいう声をいただいております。
別に何から何までマインドマップを活用しようとする必要は一切ありません。
講座でも特にこの点を強調してお伝えしていますが、大事なのは『何の目的があってその活用しようとしているツールを使おうとしているのかと』いう自分にとっての基準を、そもそも自分自身が理解できているのか、というその一点だけです。
便利→使うという発想ではなく、こういう目的だから使う→便利という発想で活用しようとしたときに初めてそのツールは活きてきます。
あなたが普段使っているツールも、便利だから、素晴らしいツールだからという利用だけで使っていませんか?
その思考ですとツールを使うことが目的になりがちなので、その点についても今一度見直してみることをオススメします。